ドローン本「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか」

沢尻エリカさんの元夫としても有名な、高城未来研究所所長の高城剛さんの書籍です。

ドローンとはどういうものか、について書かれた本ではなく、ドローンによって今後世の中がどう変わっていくのか、について主眼が置かれ、書かれた本です。

ラジコンヘリの進化版としての、いわばおもちゃのようなドローンならば以前から存在していましたが、インターネットに繋り、インターネットの延長線上にあるドローンが今後世の中を変えていくのではないかというのが著者の主張です。

ドローンがインターネットにつながることで、インターネットは重力に挑戦する。これがドローンの可能性であると。

なんとも刺激的な表現で、どういうこと?と どんどん読み進めていきたくなってきます。

さらに著者は、現在のドローン黎明期というのはインターネット誕生前夜に似ており、ドローンを制するものは世界を制する可能性は極めて高いとまで述べています。
かつてのグーグルのように。

たしかに、ドローンとネットショップが進化してくれば、食料品などの日用品を、近所のスーパーのネットショップで購入し、ドローンで配達という使い方が広まってくれば、自動車の普及率もグンと減ってくるのではないでしょうか。

そうなると自動車王国日本の地位はますます下がってきそうですが。

あとは、今後ありえそうなドローンの活用法だと、ネットでスマホの写真をアップロードして注文し、注文した写真がその日のうちに届くとかですかね。

現在でも、ネットで写真を注文できるネットプリントのサービスはありますけど、配送にはどうしても2、3日かかってしまいます。

それが、ネットで注文した時点で、写真の現像は注文者の最も近くの写真屋にデータが転送されて則現像され、ドローンでその日うちに配送されると。

かなり、あるあるな未来な気がします。

また、冒頭では、今後の世の中のテクノロジーの進歩についてが書かれています。

テクノロジーの進歩によって今後起きる革命、すなわち、

2015年~2024年がロボティクス革命

2025年~2034年がナノテクノロジー革命

2035年~2044年が遺伝子工学革命

そして2045年にシンギュラリティ=技術的特異点を迎えると、テクノロジーは全人類の知能を超え、テクノロジーがテクノロジーを開発するようになると…

著者はそのような未来が、人類にとってバラ色の未来というよりは、不気味なバラ色だろうと表現してましたが、自分のような凡才も、確かに明るい未来は描きにくいなぁと思います。

ただでさえ、AIの進化によって、10年後には49%の職業が機械で代替可能と言われ、著名物理学者のホーキンス博士曰く、「人口知能の進化は人類の終焉を意味する」とさえ言われています。

たしかに、明らかにロボットのほうが人間より賢くなれば人間が働く必要はなくなってしまいます。

49%どころか、全ての仕事がロボットで賄える日がきてしまうのかもしれません。

極端な話、労働はロボットに任せ、お金という対価で物を購入する必要もなくなり、人間は人生を謳歌するためだけに生きる そのような未来になってしまえば、一見バラ色の未来のように見えます。

しかし、働くことをやめ、ただ遊びほうけるだけの人類に成長はないでしょう。人類は進化の頂点を迎え、衰退期に入っていくのかもしれません。

人や国家にもライフサイクルがあるように、人類にもライフサイクルがあり、そのピークが、そのシンギュラリティなのかもしれません。

そのシンギュラリティについては提唱者である、グーグルのAI開発責任者レイ・カーツワイルが以下の書籍を出版しているらしいので、一度読んでみたいと思います。

なんともうらやましい話ですね。

年率500%の成長率のある業界とのこと。

もし、この本を読んでドローンの未来を感じることができたのなら、この本に書かれているドローンメーカー、DJI、3Dロボティクス、パロットの3社の株式を購入してみるのもありかもしれません。



また、本書では日本人の労働生産性の低さについての考察が書かれていますが、著者曰くその原因は、日本人の「無責任組織」にあると述べています。
無駄に会議が多く、責任の所在が曖昧で、結論がでるまでに時間がかかり過ぎ、結果スピード感がないと。

一理あるとは思いますが、現役サラリーマンの私としては、本質はもっと別なところにあると思います。

1つめは、良くも悪くもジャパンクオリティーのせいで、製品だけでなく、仕事内容そのものについても、必要以上に品質が求められ、結果多大な労働時間が強いられてしまうからだと思います。

日本人は何事にも丁寧で、高品質を求めすぎだと思います。
外国人なら、ある程度の品質で満足しているものでも、日本人はその丁寧さゆえ、いい加減な部分は許しません。
徹底的に時間をかけてでも改善していくのではないでしょうか。
作り手側だけでなく、消費者も世界一厳しく品質にこだわるので、企業側もいやでも高品質にせざるを得ません。

何事にも高品質を求めるがゆえ、全体的に労働時間が増えてしまうのではと思います。
そして2つめは、宗教観の違いです。
キリスト教では、労働は神が与えた罰である という思想です。、
一方、稲穂の国である日本の神話では、そもそも最高神である天照大神自体が田植えをしており、そしてその天照大神が天上でつくっている稲穂を人間に授けて地上に下させたそうなので、
日本人が、田植えをすることは、神様の稲をいただくことになり、労働は神からの祝福という考え方です。
このように、そもそもの宗教観による違いから、労働に対する考え方は、片や神の与えた罰、片や神からの祝福と、180度違っています。
そしてこれもキリスト教から生まれた契約の概念で、契約の範囲内でしか仕事を行わないという労働スタイルです。
他人の手伝いもせず、契約の範囲内の仕事しかしないのならば、そりゃ仕事も早いだろうなぁと思います。
元々契約の概念のない日本人は、契約外のことでも平気で行いますし、労働自体が神の祝福なので、自ら進んで高品質を求めます。
労働する側がこのような考え方であるため、雇う側も、欧米では労働者はコストぐらいに思っているので、簡単にリストラをし、また、リストラを行って業績がよくなったとして経営者の報酬を上げたりもします。
日本では考えられないことではないでしょうか。
そのせいか、その分労働組合の力が強いみたいですが。
逆に日本では従業員は準家族で、運命共同体のようなものであり、ひと昔前までは終身雇用が原則で、従業員を大切にするという考え方です。
けれどもそれは一昔前までの話で、最近はブラック企業の台頭や、派遣社員の活用、業績不振によるリストラで、日本の労働環境もかなり変わってきていますが。
なので、契約の範囲内でしか仕事しないし、仕事も早く終われるけども、簡単に首を切られる欧米スタイルと、
常に高品質を求められ、他人の手伝いもし、労働時間は長いが、その分社員は大事に扱われ、簡単に首は切られない日本スタイル
どっちも一長一短であると思いますし、またどちらも、それぞれ宗教観や民族性によるところが大きく、ただ単に日本人のパフォーマンスが悪いだけということではないと思います。
ドローンから大分話がそれてしまいましたが、ドローンによって今後世の中がどう変わっていくのか、それがちょっとでも気になったら、本書を読んでみるといいでしょう。
いろいろな示唆が得られると思います。
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